高宮 暉峰先生(2)
- woman syodo
- 2020年4月18日
- 読了時間: 7分
更新日:2020年6月21日
高宮暉峰(たかみや きほう)先生
本名:高宮 華子
書道のはな*みち主宰
読売書法会 会友
日本書道教育連盟 師範

1975年生まれ。6歳より書道を始める。
24歳で読売書法展初入選を果たしその後、入選・入賞は多数。
「キレイな字が書けると人生はもっと美しくなる」をモットーに、都内数ヶ所に書道サロンをオープン。
六本木ヒルズ内アーテリジェントスクールや、 DHC・コープとうきょう・丸の内朝大学講師等の外部レッスン、
TV・雑誌等メディアで、幅広く活動中。短時間でキレイな字を引き出すためのスパルタ指導を得意としている。
午前2時起きの時間術
遠藤郁子(以下郁子):華子先生といえば、これを聞かずにはいられない!時間術についてお伺いしたいです。毎日午前2時には起きて一日をスタートされるのですよね。
高宮華子(以下華子):ただ早寝なだけです。
郁子:いえいえ、もう習慣化されているのがすごくて!いつからこの早寝早起きスタイルなのですか。
華子:娘が1歳半ごろ、寝るリズムが一定になった時からです。最初はね、頑張って夜中起きていたんですけれど、、子供を寝かしつけていて寝落ちした時の後悔感、12時ぐらいに目が覚めた時の罪悪感がいっぱいなんです。本来、寝るのも良いことじゃない?育児も頑張って、家事も頑張って、仕事もやってるのに「あー寝ちゃった。。」っていう罪悪感は何なのだろうと思ったら、すごく自分に対して申し訳なくなりました。お母さんはやはり、家の中の太陽だから、お母さんの機嫌が悪いと家の中の空気が全部悪くなる。これはいけないと、ある時気づいて、「もういいや!一回子供と一緒に寝てみよう!!」と思いました。
子供と一緒に寝てみたら、2時に起きられて。これが1時だったらもう一度寝てしまったと思います。そのまま書道作品を書いたら、まだ4時なんです。その後にお風呂に入り、コーヒーも飲んで、まだ5時じゃない!?本も読めると思ったら朝の黄金時間に気づいて、私はこれですごく生産性が上がることに気がついたのです。
6時から家事をして、当時幼稚園に通っていた娘を送りに行ってもまだまだ時間がある。昼間しかできないことは人と会うこと。昼間は街全体が起きていて、うるさくて集中できなかったり、予期せぬ電話とかインターホンが鳴って、なかなか生産性が上がらなかったのです。単なる事務作業は中断しても戻れるからいいと思うのですが、、書道作品を書くことは、途切れたら同じ状態まで持っていくのはとても時間かかります。うろうろして、何か食べたり飲んだりして気分変えてからでないと、途中で切った作品はもうダメじゃないですか。
郁子:おっしゃるとおり。もし書ける状態にまで気持ちがもどっても、結局繋がらない作品になってしまいますよね。
華子:そう考えたら、私の中で創作活動は夜中か朝かなと。2時起きしたその日、すごく機嫌よく浅草に書道用品の仕入れに行って、子供のお迎えにも悠々間に合うから、ランチもできて。帰ってきてちょっとお昼寝させてもらい、夕方のお稽古、子供たちのお風呂、ご飯、そして寝る。これは素晴らしいと思って!私はその一日ですごく健やかになれました。これからなるべくこうやって一日を回していこう、と思えたのです。
郁子:健やかになれた。素敵な感覚ですね。

華子:夜に仕事の時は無理ですけれどね。夜の仕事は週に数日と決めて、本当に不慮のことで夜出かける必要がある時に子供が泣いて寝ない、とならないように子供を慣らしています。
郁子:結構大事なことですよね。
華子:病児保育とかも病気じゃない時から調べておく必要もあります。子供が小さいうちは、すぐ飛んで帰れるような仕事のやり方を考えて、でもやっぱりどうしても誰かにお願いしなくちゃいけない時もありますから。幼稚園生のころから慣れはじめておくと、出張もできるようになるし、仕事の幅が広がると思います。
郁子:ちょっと先を見越しての行動、素晴らしいです。
華子:母親がいないと生きていけない子ではなく、いろんな方に育てていただいた方がいいなと思って、最終責任はもちろん親にありますけれど。保育所に預けるのも大事ですが「お願いします」と、お友達のお家とか、ご近所の助け合いとかね。本当にママ友さんも優しい方々ばかり。おじいちゃんおばあちゃんに見ていただくのは、孫である子供たちにとってすごく幸せで財産だと思っています。 ただ、おじいちゃんおばあちゃんも、生身ですから、いくら家族でもあまり負担にならないように、出来る限り預ける日を集中させないように心がけています。
郁子:お子さんのことを考えても、創作時間のためにもおすすめの2時起き!ですね。
華子:キャリアウーマンの方で4時起きの方もいらっしゃいますよね。普通にお勤めの人にもちょうどいいと思います。
郁子:少し早く起きて、お仕事して、お子さんのお弁当を作るとかでしたら4時起きの方も結構いらっしゃるかもしれませんね。
華子:私達の仕事上、特に創作活動が1時間じゃできない、というところが大きなポイントですね。
郁子:そうですね。
華子:だって「二×八」(大きな作品)を1枚書けば、余裕で1時間たっていますよね。
郁子:ほんとに!あっという間にね。
華子:やはり作品創作には3時間ぐらいは欲しいし、エンジンがかかってきた後に2、3枚書けたら理想ですね。
郁子:作品を書いていて、夜が明けないでー!と思ったことが何回もあります。作品の締切直前とか。 華子:夜が明けるのが早い!
親の背中を見てる

郁子:締切といえば、締切前は部屋が作品であふれますよね。子供には作品に触らないようにかなり小さい頃から言っているからか、作品には触れないし、墨のついた筆があったとしても遊ぶことはないです。忙しい時ほど「私も書きたい」と言う時はありますが。。華子先生のお子さんたちは?

華子:別に取り立てては言わないです。子供たちも私の「大事なもの」と、何も言わなくても触っちゃいけないと分かってるから、テーブルに筆が置いてあったとしても普通にテレビ観ている。あれはありがたいですよね。これをやったらもう大変なことになるって小さい頃から理解している。
郁子:「気をつけてね」とか「触らないでね」と毎回毎回言わなくても伝わっているのがありがたいなと思います。
華子:親の背中を見てるんですよね、やっぱり子供はすごいね。
書道家は言葉に敏感
郁子:華子先生は何冊も本を出版をされていますが、出版や新しい仕事を展開する時のアイデア出しについてお聞かせください。
華子:何か取り立ててブレストみたいなものはあまりしていなくて、やはり書道家だからだと思うのですが、言葉に敏感になりませんか。ですので、日々本を読んだり、人の話をよく聞くようにしています。
郁子:言葉に敏感。言葉を書いて表現することもあり、やはり言葉を大切にしますよね。
華子:「スパルタ書道家」になる、と決めた時は「結果を出す=スパルタ式」と考えました。ブランディングをする時には逆をはる、つまり今まで世の中にないもの、ということです。
郁子:おぉ、スパルタ書道家のルーツ!伺えて感動です。「結果を出させる」ということですね。
華子:編集者の方に伺うと、「世に中にないもの、特に本として出ていないものは、逆にニーズがないから出ていない」という考えもあるそうです。お料理の本とか、ダイエットの本とか手を変え品を変え、ずーっと出ているでしょ。キラーコンテンツなんです。売れると分かっているから出版できる。これは一理あって、「業界初」とか「斬新なアイディア」は本ではやめておいた方がいいですよね。絶対にコレがいい、というのは自分だけ思っているのでは、それは多分奢りだから、まずは周りの人に試して結果を出せたら、「どうですか?」と提案できると思います。「世に中にあるものの中で、どこかトガっているところはないか?」を常に探し続けています。

郁子:常に両方の視点で見ていらっしゃるのですね。
華子:あとは「書道のお悩み相談」を受けていました。一人が悩んでることはやはり10人、100人と悩んでいることなので、お弟子さん、生徒さんの悩みや質問が本当に財産になりました。私達は普通にやってきたこと、例えば「どんなボールペンを買ったらいいか」という悩みは気づけないところですよね。そこにフラグが立てられないかを考えていきます。(フラグを立てる=解決できる条件が成立する)
郁子:「書道教室で自分の添削を見られたら嫌だ」というお悩みがあったと、以前伺ったことがあるのですが。
華子:そうそう、そうです。書道教室では、基本は全員の前で見られることが前提ですよね。添削がなかったら上手になれないから。
郁子:先生の机で直されてるのを皆で見る。他の方の添削を見て、自分も勉強するのが当たり前の世界でしたね。
華子:そう。前の生徒さんが「ぎょうにんべん」を直されていたとしたら、「同じことで直されないようにしよう」と思って直すのが、私達の時代の学び方。けれど、それを「恥ずかしい」と思うことに驚きながらも、恥ずかしいっていう思いがあるなら、「私がそれを解決してあげよう」と思い、今のお教室のスタイルになっています。
郁子:「今までそうだから、そうしなさい!」ではなくて「私が解決します!」これが華子先生ですね。(つづく)
(撮影協力 Misako Bando)

次回は5/5更新の予定です。
これからのお仕事についてお伺いしました。
お楽しみに!
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